認容とは
会計上費用・損失として処理していない減算項目(税金を減らす取引)に対し、税務計算上だけで【損金処理】をして【課税所得】を減らすこと。厳密な定義はないが、主に過年度の損金不算入項目が損金計上できるようになった際に使われる。
認容の例
3月決算の会社が、翌期の6月の賞与に備えて「賞与引当金」を積んでいたとする。この場合、「賞与引当金繰入」という費用が損益計算書に載ることがあるが、賞与はその支払確定時に初めて損金となるものであるため、税金計算上は損金の額から外される(賞与引当金否認。【引当金】の項も参照のこと)。
さて、翌期になり、実際に賞与が支払われた場合、会計上は「賞与」という費用と「賞与引当金」の取崩しで仕訳を切る。これに対し、税務上は全額が「賞与」となるから、期首に積まれていた「賞与引当金」の分だけ費用が少なくなる。この差を埋めるために、前年に調整した「賞与引当金否認」を1年越しで損金算入する。これを「賞与引当金認容」という。
「認定損」や「償却」との違い
同じく会計上費用計上されていないものを損金算入する調整に対して、「認定損」や「償却」と呼ぶケースもある。これらの違いは明確でなく、税務申告においては何の名称を使ってもよい。
慣例的な使い分けとしては、「認容」が会計で過去に費用処理された引当金など負債を認識するのに対して、「認定損」は会計上まだ費用処理されていないものを、「償却」は資産の減額を指すことがある。
ただ、繰り返しになるが厳密な定義はなく、雰囲気や語感で使い分けても問題はない。