IFRS(国際財務報告基準)を作っているIASBは、P/Lに表示する段階利益について協議中とのこと。
段階利益といえば日本では営業利益・経常利益ですが、IFRSにはそうではなくEBITという指標が載るようです。
IFRS、EBITをP/L表示に、営業利益は不採用
http://ifrsoftheday.blogspot.jp/2017/11/ifrsebitpl.html[外部]
EBITって何?
EBITとはEarnings Before Interest and Taxesの略で、「金利前税引前利益」などと訳されます。厳密な計算式は以下のとおりです。
EBIT=当期純利益+税金費用+支払利息-受取利息
その他の財務関連費用があれば利息と一緒に加減算し、影響を消します。
営業利益との違い
経営企画的な世界では営業利益のことを(かっこつけて)EBITと呼んだりしますが、厳密には異なる概念です。
EBITは、営業利益から、利息以外の営業外収益費用、特別損益を調整した結果になります。
EBITが評価される理由
記事にもありますが、企業間の比較可能性を高めるためのようです。
たとえば日本基準では、本業とは別に賃貸している場合は営業外収益が発生しますが、これが「本業とは別」かどうかを証明することが難しいケースがあります。
経営者の性として、なるべく段階利益の上のほうに利益を持っていきたいものです。監査法人によって対応は異なりますので、ある会社では営業利益に入れていたものが、別の会社では入れていないというケースも少なくないでしょう。
このようなギャップを埋めるためには、なるべく客観的な基準で分けていき、主観的判断が必要な区分は行わない(開示自体を禁止する)、ということが必要になります。IFRSはその志向が強いです。
問題はないのか?
比較可能性を高めるという点では、営業利益ではなくEBITを開示させるということに一定の評価ができると思います。
もっとも、科目名さえ明確にしておけば、EBITは財務諸表利用者が自分で計算できるので、そんなに意味があるのか?という気もします。
営業利益・経常利益といった段階利益は、恣意性が入る余地はあるものの、会社と監査法人が経済実態を見て判断するものなので、それなりに価値はあると思っています。
実際の議論では、営業利益の開示禁止までは踏み込まない方向のようです。