【税効果】すぐ使える法定実効税率の計算シート&解説

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税効果会計の法定実効税率計算シート

税効果会計に関して、先日は「繰延税金資産の計算&注記作成シート」を公開しましたが、今回は「法定実効税率の計算シート」を公開します。

法定実効税率は、税制改正のたびに太田達也先生あたりが公表してくれますが、あくまでも「東京23区内の超過税率が適用される外形標準課税適用法人」という限定的な事例です。

実際の法定実効税率は、事業所の所在地や超過税率の適用有無、外形標準課税の適用有無などで大きく変わりますので、杓子定規にいくらと結論だけ出すことは難しいものです。

そこで、このたび適用指針に則った法定実効税率の計算式をExcelシートにまとめました。

以下をクリックするとダウンロードできます。登録不要で、ご自由にカスタマイズしてご利用いただけます。


税効果会計で使える繰延税金資産の計算&注記作成ExcelシートR200 法定実効税率の計算シート(Excelファイル)

例として、平成29年3月期決算の会社で、東京23区ではなく、外形標準課税適用、超過税率適用なし(標準税率)のケースをデフォルト入力しています。


※マクロは一切使用しておりません。

以下ではこのシートの使い方について解説します。

当社が製作するExcelシートは、一定のルールとテクニックを用いて作られています。シートの数式に対する理解やカスタマイズをお考えの際は「経理の業務効率が5倍になるExcel活用の全ノウハウ」をご覧ください。

法定実効税率計算の元となる【法人税、住民税及び事業税】の種類一覧と内容、計算方法については、「【法人税、住民税及び事業税】の種類一覧と計算方法」にまとめております。あまり自信がない方、知識をおさらいしたい方は、先にこちらをご覧ください。

1.法定実効税率の計算式

まず、法定実効税率の計算式は以下のとおりであり、Excelシートではこの計算式を表にまとめています。

税効果会計の法定実効税率の計算式
※税効果会計に適用する税率に関する適用指針より

1-1.法定実効税率の計算式の補足

1-1-1.住民税率について

法人にかかる住民税には「法人税割」と「均等割」がありますが、法定実効税率の計算で使うのは「法人税割」だけです。

また、東京23区を除き、住民税は都道府県民税と市町村民税に分かれますが、法定実効税率の計算では両者を合算して使用します。

1-1-2.事業税について

株式会社の場合、事業税には「所得割」、「付加価値割」、「資本割」の3つがありますが、法定実効税率の計算で使うのは、このうち「所得割」だけです。

また、事業税と同じ扱いをする税として「地方法人特別税」があります。あと数年でなくなる予定なので上記計算式には載っていませんが、これは計算上事業税に含めます。



2.法定実効税率計算シートの使い方

それでは法定実効税率の計算シートの使い方を見ていきましょう。

全体のレイアウトは以下のとおりで、上から順番に入力していきます。

税効果会計の法定実効税率計算シートの使い方

2-1.決算日の入力

まず決算日を以下の緑のセルに入力します。これにより、各計算表の期間が一括で入力できます。

税効果会計の法定実効税率計算シートの使い方

2-2.住民税の計算

各自治体の住民税の税率を入力します。

東京23区内とそれ以外では計算式が変わりますので、最初にどちらかを選び、薄い黄色でハイライトされた箇所を入力してください。

税効果会計の法定実効税率計算シート

いずれも「法人税割」の額を入力します。

法人住民税には超過税率(一定要件で税率がアップすること)が設定されている場合がありますので、各自治体のホームページや電話での問い合わせで超過税率の金額を確認しましょう。

平成31年10月以降の超過税率が公表されていない自治体もあります。これは29年4月以降から適用する予定だった税率変更が延期されたためで、すでに決まっていることが多いので、各自治体に問い合わせてみましょう。

2-3.法定実効税率の計算

1でご紹介した法定実効税率の計算を、各事業年度ごとに行います。住民税以外の税目を入力しましょう。

税効果会計の法定実効税率計算シートの使い方

事業税は所得割の税率だけを入力してください。付加価値割や資本割は入力しません。
地方法人特別税は、そのまま税率を入れれば、自動で事業税との合算計算を計算を行います。

数式により、法定実効税率(端数処理前)に税効果で適用する税率が算出されます。

2-4.端数処理

上記の法定実効税率のままでも監査を受ける上では問題ありませんが、実務としては端数を処理しておいた方が計算しやすいです。以下で端数処理を行いましょう。

税効果会計の法定実効税率計算シートの使い方

緑のセルに小数点以下第何位まで有効とするかを入力します。一般的には第2位までが多いです。

結果として「法定実効税率(端数処理後)」に、指定した桁数で四捨五入した税率が表示されます。
このうち1期~6期は、繰延税金資産の計算&注記作成シートのR121にそのまま貼り付けられる形になっていますので、範囲を選択してコピー→値貼付けで連携可能です。



3.繰延税金資産の計算&注記作成シートについて

3-1.カスタマイズについて

このシートはなるべく多くの企業様にご活用いただけるよう製作しておりますが、企業の処理の個別性によっては対応しきれていない場合があります。

また、多くの企業様に対応するために、やや器用貧乏なところがあり、会社様によってはオーバースペックだったり、他の業務フローとの相性が悪い場合もあります。

さらなる効率化を実現するためには、カスタマイズを行うことをお勧めします。マクロ等は使用していないので簡単にカスタマイズ可能ですが、弊社では業務フローのカイゼンも含めたカスタマイズコンサルティングをご提供しております。

カスタマイズされる際には、ぜひ「経理の業務効率が5倍になるExcel活用の全ノウハウ」をご一読ください。

3-2.正確性について

実在する企業数社の実数値を用いて計算チェックを行っておりますが、あらゆる状況に対応していることを確認しているものではありません。必ず決算前に過年度数値を用いて、計算の正確性を確認してください。当計算シートを用いたことにより発生した一切の損害について、弊社では責任を負いかねます。

なお、計算式の不備やバグを発見された場合は、弊社までご連絡をいただけますと幸いです。

3-3.二次利用について

著作権は放棄しませんが、利用者様の責任において無申告で修正・改変することができます。

ただし、著作物への添付、セミナーでの配布、インターネットでの配布等につきましては、必ず弊社までご一報をお願いいたします。

3-4.質問対応について

本記事のコメント欄より質問を受け付けております。
ただし、決算大詰めでお急ぎの場合はお電話ください。

税効果にそのまま使える繰延税金資産の計算&注記シート
【法人税、住民税及び事業税】の種類一覧と計算方法

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