日経新聞によると、政府は「実質的な」法人税率を約20%まで引き下げたいようです。
賃上げ+革新投資なら 法人税、実質負担20%に下げ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24207240T01C17A2MM8000/[外部]
この「実質負担」が曲者で、どうやら現在の「所得拡大促進税制」と「生産性向上設備促進税制」、プラス検討中の従業員の教育研修に関する減税措置を踏まえて最大20%まで下げる、ということのようです。
減税措置について思うこと
所得拡大促進税制や生産性向上設備促進税制は、近年まれにみる大ヒット減税措置であり、その節税効果は経営に大きな効果をもたらしていると思います。
ただ、(これは税理士の宣伝不足かもしれませんが)減税措置を受けるために人件費を上げたり投資をしたりというよりも、必要な賃上げや投資をしたら結果的に減税できたというケースが多いような気がしています。
税制本来の目的である「賃上げのハードルを下げる」「イノベーションを促す」という目標達成のためには、税制以外のバックアップが必要であろうと思っています。
法定実行税率への影響
税効果会計で使用する法定実行税率は、減税措置による節税効果を織り込まないため、以前高いままの税率になります。減税措置が充実したからと言って、繰延税金資産を取り崩す必要はありません。
ただし、これはあくまで減税措置が限定的な現在の会計制度の話。もし減税措置で実質的税負担が3分の1になってしまうようなら、今後会計基準の見直しが議論されるようになるかもしれません。
理論上一番正しい形は、減税措置を考慮しない税率で繰延税金資産を計算し、回収可能性を検討するときに減税措置の効果を上限から差し引く形でしょうか。
はっきりいってものすごく大変な計算になりますので、もっと簡単な方法になるといいのですが・・・