税会不一致とは
会計上の仕訳(通常の帳簿記帳)と税務上の仕訳(税金計算上の【益金】と【損金】)が異なること。会税不一致ともいう。税会不一致が発生すると、税金計算において会計上の仕訳を税務上の仕訳に修正する「税務調整」と呼ばれる作業を経て、会計上の利益が税務上の【所得】に修正され、税金が計算される。
経理が切るほとんどの仕訳は税会が一致しており、税金計算においてもそのまま使うことができるが、特に上場会社の場合は【減損処理】、【のれん】、資産除去債務、退職給付引当金など、税務上では存在しない会計処理が入り込んでくる。
これらの処理で発生した費用は、会社の実態をタイムリーに公表するという「会計の目的」には必要なものであるが、公平で厳密なルールに則って税を課すという「税務の目的」にはそぐわない。よって、これら一部の会計処理で生じた費用を【損金不算入】するなどして、適正な形に税務調整しなければならないのである。
税会不一致の実務
経理実務では、税会不一致は数が多いほど税務調整作業や【税効果会計】が大変煩雑になるため、上場会社であっても可能な限り回避される。たとえば固定資産の耐用年数は1件1件その使用期間を見積もって決めることが会計のルールだが、実務的には明確な不合理がない限り税務上の【法定耐用年数】(または税務でも通せる見積り)を使うのが、ごく一般的な経理である。
まして財務諸表の開示義務のない非上場会社では、本来の会計処理を曲げてでも税務の処理に合わせてしまうのが一般的である。税理士も本来の会計処理なんてわかんないし。このような経理方法は若干の皮肉を込めて「税務会計」と呼ばれている。
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