負ののれんとは
【のれん】を算出した結果、マイナスとなった状態こと。すなわち、のれんとは買収額-時価純資産で算出されるが、買収額が時価純資産を下回った場合に「マイナスののれん」となる。特別利益に計上される。
特別利益に計上される理由
会社の価値は資産負債の価値だけではなく、事業をすることによって、単なる資産額に何らかの付加価値を生み出している。この「何らかの付加価値」がのれんである。
ところが、そののれんがマイナスということは、事業をすることによりマイナスの付加価値を生んでいるという意味である。本来そんな会社を買う者は存在しないはずであるし、売り手としても会社を清算したほうが儲かるということになる。
しかしながら、実際には資金調達の緊急性や人間関係、重要な経営資源の存在、清算コストの問題などにより、非常に安い価格でM&Aが成立することがある。そのようなレアケースで負ののれんが発生する。
このように理屈としては本来発生しえない異常な「儲け」であるため、買収時の会計期間の特別利益として計上する。
昔の会計処理
平成22年の企業結合会計基準の改正までは、負ののれんは固定負債に計上され、のれんと同様に定額法等にて償却処理(営業外収益)されていた。現在もこの「負ののれん償却」を計上している会社は少なくない。
これは、平成22年の改正前に発生した負ののれんは引き続き償却処理が認められているからで、現在新しく発生した負ののれんを負債計上することはできない。
税務の余談
会計上の負ののれんと同じような税務上の概念に、「差額負債調整勘定」というものがある(厳密には別物なので注意)。税金計算上、こちらは今も負債計上し、5年で償却することになっている。詳しくは以下の姉妹サイトをご覧いただきたい。
▶のれん
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