マルチプル法とは
企業価値評価手法の1つで、売上高やEBITDAなどから企業価値を推定する方法。マーケットアプローチの代表的手法。
マルチプル法の仕組み
上場会社の中から類似事業を営む会社を複数ピックアップし、それぞれの株価から、その会社が売上高や【EBITDA】といった主要指標の何倍の事業価値と評価されているかを計算し、その平均値等を評価対象会社の売上高やEBITDAを掛けることで、評価対象会社の【企業価値】を推定する。
たとえば、株式市場で企業価値が5億円と評価されている会社があり、その会社のEBIDAが1億円と評価されていれば、EBITDAに対して5倍の倍率(マルチプル)で評価されていることになる。仮に業界平均値も5倍だったとすると、EBITDAが3,000万円の会社の企業価値は、3,000万円×5倍=1億5,000万円程度であると推定される。売上高や営業利益などの指標でも同じように計算し、それぞれの計算結果の平均値などを企業価値とする。
マルチプル法の特徴
マルチプル法は【DCF法】に比べて恣意性の入り込む余地が少なく、比較的客観性が高い方法と言われている。ただし、類似会社選びや日々変動する株価のどの時点を採用するかなど、まったく恣意性が入り込む余地がないというわけではない。
また、DCF法に比べて計算は簡単でコストもかからないため、M&A初期段階における簡便的評価として使われることもある。
客観性、簡便性、理論的整合性のバランスがよく取れた優れた方法である。
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