移転価格税制とは
海外に親会社や子会社を持つ日本の企業が、その会社との取引価格を不当に調整することによって、税率の低い国の会社に余計に利益を落とそうとすることを防止する税制。これに抵触した場合、「資本関係のない独立した会社間で通常取引される価格(独立会社間価格)」で取引した価格に修正計算され、日本で追徴課税を受ける。(その分海外で取り戻せるわけではない)
移転価格税制の難しさ
たとえば法人税率が俄然低いシンガポールに子会社を持っている会社であれば、シンガポールからの買い付け価格を高くしたり、日本からの売却価格を安くしたりして、なるべくシンガポールに利益を落としたいと考えるのは当然である。だがそんなことをされては日本からの資金流出も甚だしいため、「海外取引は公正な市場価格じゃなきゃだめよ」というのが移転価格税制の趣旨である。
しかし、この「公正な市場価格」とか「資本関係のない独立した会社間で通常取引される価格」というのは、どうやって測定するのか。神の見えざる手という言葉があるとおり、まさに神のみぞ知る領域である。
この証明できない価格を証明するため、海外関連会社との取引には「公正な価格であることを証明する書類」が必要になってくる。移転価格税制は日本国内の制度であるため、日本で税務否認を受けたら海外で還付申請できるかというとそんなことはなく、否認されると大きな損失になるため、入念なリスクヘッジが必要である。
そのため【組織再編税制】と並び、法人税の中ではトップクラスに難易度の高い税制とされており、専門の税理士でなければ安心して頼むことはできない。ちなみに弊社役員が代表を務める古旗淳一会計事務所[姉妹サイト]は組織再編税制専門[姉妹サイト]であり、移転価格税制はお断りさせていただいております。