納税業務

電子申告・電子納税がイマイチ普及しない理由

電子申告・電子納税が普及しない理由

日経新聞によると、首相の諮問機関である政府税制調査会が、ICTを使った納税手続き簡素化の議論を始めたとのこと。

電子納税、簡素化を検討 政府税調、利用拡大めざす(日経新聞)[外部]

政府税調の委員がエストニアや韓国など7カ国を視察して得た先進事例について報告。外国の例を参考に、ネット上で納税手続きが完結する電子納税の拡大策をまとめる。

記事によると、日本の法人税の電子申告割合は64%。これは税理士丸投げ型の中小企業ほど率が高いので、大法人は50%程度とのことです。

電子申告・電子納税の普及ペースが遅いのは、それ相応の理由があるからのはず。
記事では「政府は規制改革推進会議で、電子納税を普及させて企業の事務作業費などを2割削る方針を打ち出した。」とありますが、どうやって2割も削るんだろうという気がします。

続きを読む

不振子会社の出向者への賞与を肩代わりしたら寄附金になる?

出向者への賞与肩代わり(業績不振の場合)

親子会社における金銭のやり取りというのは、いつもなかなか難しいものがあります。

たとえば、経営不振の子会社に対して親会社から資金援助を行った場合、ごく例外的なケースを除いてそのお金は「寄附金」となります。

この寄附金は、どんなに払っても税務上の費用(損金)にできないことがあります。
なぜなら、これを無制限に損金に認めてしまうと、儲かっている会社の利益を赤字の会社に移転し、グループ全体の税金を不当に下げることができてしまうからです。

では、このような親会社から業績不振の子会社への資金援助(金銭交付)が、「親会社から出向した社員の賞与を払うため」だったらどうなるでしょうか。

今回はそんなケースの取扱いをご紹介します。

続きを読む

役員に臨時賞与を支給したら、月給部分はどうなるの?

臨時役員賞与と定期同額給与

役員報酬は原則として毎月同額を支給することになっており、賞与を出す際には「事前確定届出給与」の届出を事前に提出しておかないと、税務上の費用(損金)として認められなくなります。

経理実務に携わっている方であれば、上記ような役員報酬に関する基本的な知識はお持ちの方が多いと思います。

ですが、それはあくまで税金計算上で損金と認められるか否かというだけのこと。臨時で役員にボーナスを支給することは会社法上禁止されておらず、「当期は業績がいいから、今月は役員にもボーナスを出そう」といって支給すること自体は違法でも何でもありません。単に税金で損するだけの話です。

さて、このように事前確定届出のない役員賞与を支給すると、毎月の役員報酬額が下図のようになります。

臨時役員賞与

上記のように、1月だけ役員報酬額が違う月が出てしまいます。3月の役員報酬のうち、賞与である300万円は損金算入できないとして、通常の「月給」部分の100万円は損金算入できるのでしょうか。また、3月以外の月の100万円は損金算入できるのでしょうか。

今回はこの問題について、役員報酬に関する税務規定を確認しながら検討していきましょう。

本稿は弊社役員である税理士の古旗淳一が、一般的な取引を想定した私見を執筆しております。

続きを読む

経理が知っておきたいタックスクッションの意味と会計の本質

タックスクッション

上場会社の経理では、中小企業ではあまりお目にかからない記帳テクニックが登場することがあります。一例として、期末の未払法人税等(納税充当金)の額と翌期の実際納付額が一致していない!ということが、多くの会社で見られます。

これは単に間違えているのではなく、わざと納税額より過大な未払法人税等を計上しているのです。この過大計上額をタックスクッション(税務クッションと呼びます。

なぜわざわざこんなことをするのでしょうか。今回はその理由を解説しましょう。そして、タックスクッションを理解すると、会計の本質が少しだけ見えてきます

続きを読む