新日本監査法人が、東芝の株主である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から訴えられたそうです。
GPIF、新日本監査法人を提訴 東芝不正会計で損害賠償35億円(ロイター)[外部]
新日本監査法人が「相当な注意を怠って」誤った監査意見を表明し、それを信じたGPIFが巨額の損失を発生させたことによる損害賠償請求とのこと。当然ながら、東芝自体にも巨額の賠償請求をしています。
相手が新日本監査法人なので、今年発生した巨額減損ではなく、一昨年発覚した工事進行基準などによる粉飾事件についての訴訟ですね。
損害賠償請求は通常原告側に被告の怠慢を証明する義務がありますが、会計監査の適正性裁判は被告側が怠慢がなかったことを証明しなければなりません。どうやるのか見ものですな。
東芝事件に関して、公認会計士の知り合いから「会社に隠されてしまったので、どうしようもなかったんじゃないか」という同情論をよく耳にします。もしかしたら新日本監査法人も、見つけられなかった理由を監査権限の限界として説明するのかもしれません。
ただ、隠されたら不正を見抜けないというならば、一体何のための監査制度なのか。経理屋としての感想はこれに尽きると思います。一体何のために、企業はあなた方に多額の報酬を支払っているのか。
新日本監査法人には、専門家としての矜持を持って裁判に望んでいただきたいものです。