上場会社必見!決算で便利な固定資産の万能集計シート

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固定資産の万能集計シート

決算において、固定資産関係の開示で集計に苦労していませんか?

上場会社では単に連結B/Sの固定資産を計算するのも大変ですが、さらにその増減内容や減価償却累計額といった内訳まで開示しなければならず、またキャッシュフロー振替計算も非常に難しいものになっています。
このような様々な計算・開示に対して、その都度会計データや固定資産データを集計していたのでは効率が悪すぎます。

今回はそんな作業を効率化するための固定資産万能集計シートを公開します。これに情報を集約しておくだけで、ほとんどの計算・開示をスムーズに進めることができるでしょう。

1.中間集計資料の必要性

固定資産の万能集計シートは、決算開示業務における中間集計シートの役割を担っています。
決算・開示業務では、様々なデータから数値を集め、複雑に加工して集約し、開示情報を作っていきます(下図)。

固定資産の万能集計シート

このような作業は1つの集計であればそう大変ではありませんが、固定資産のように似たような集計を多く必要な場合は非常に手間になります(下図)。

固定資産の万能集計シート

そこで、元となるデータとアウトプットデータの間に中間集計資料を設け、情報の交通整理をしてあげましょう(下図)。

固定資産の万能集計シート

2.固定資産万能集計シートのダウンロード

固定資産の万能集計シートは、以下のアイコンをクリックするとダウンロードできます。


固定資産万能集計シート固定資産万能集計シート ver.1.1.1(Excelファイル)

※マクロは一切使用しておりません


詳しい使い方は次項をご参照ください。

3.固定資産万能集計シートの使い方

3-1.まずは固定資産科目を入力する

まずは「設定とチェック」のシートを選択し、緑色のセルに、各固定資産科目の科目コードと科目名を入力します。

固定資産の万能集計シートの使い方

弥生会計のように科目コードのないシステムを使っている場合は、適当な番号を振って構いません。

3-2.期首の各科目残高を入力する

集計表」シートを表示し、緑色の期首の各科目残高を入力していきます。

このとき、各資産の「取得原価」「減損累計額」「減価償却累計額」を入力し、差額で「帳簿価額」が算出されるようにしましょう。「減損累計額」と「減価償却累計額」はマイナスで入力します

下図は「取得価額8億円、減損累計額1億円、減価償却累計額4億円で、差引帳簿価額3億円」の場合の入力例です。

固定資産の万能集計シートの使い方

3-3.増減額の入力

増減要因ごとに増減額を入力しましょう。通常は、薄い黄色のセルだけに数字が入力されます。

このとき、資産の取得原価(借方)の増加はプラス、減少はマイナスで入力する一方、減損累計額と減価償却累計額(貸方)の増加はマイナス、減少はプラスで入力します。

固定資産の万能集計シートの使い方

上記例は、「当期は取得原価が1億円増加」「減価償却費を2億円計上」「取得原価5億円、減損累計額2億円、減価償却累計額1億円で差引帳簿価額2億円の資産が売却によって消滅」という変動を表しています。

借方をプラス、貸方をマイナスで表現する方法に関しては、「貸借をプラスマイナスで表現すると決算作業がサクサク進む」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

3-4.期末残高の確認

固定資産の万能集計シートの使い方すべての増減を入力すると、集計表の一番右側の列に期末の「取得価額」「減損累計額」「減価償却累計額」「帳簿価額」が集計されますので、確認しましょう。

あとは次のアウトプット資料に合わせて集計表の各部分から必要な数字を拾うだけで、ほとんどの開示資料を作ることができます。

3-5.念のために帳簿価額チェック

最後に「設定とチェック」に戻り、入力ミスがないことを念のためチェックしましょう。

固定資産の万能集計シートの使い方

試算表の各科目の帳簿価額残高を薄い黄色のセルに入力し、差額を表示させます。
差額がゼロにならない場合、どこかに入力ミスや計算式の壊れがあるということになりますので、原因を追究しましょう。

集計表でも目視で同じチェックが可能ですが、数字の目視チェックは見落としのリスクが高いため、念のために機械で数字の一致を確認するという仕組みにしています。ミス防止の考え方については「経理でミスを防止・発見するための3つの思考ステップ」にまとめていますので、興味がある方は是非ご覧ください。

4.連結決算の場合

連結決算の場合、各社の集計表を1つのブックに集め、SUMIF関数を使って合計しましょう。

結果として同じ形の集計表を連結トータルで作ります。内部相殺がある場合はもう1枚シートを用意し、相殺分をプラスマイナスで調整しましょう。

5.固定資産万能集計シートについて

5-1.カスタマイズについて

今回公開した固定資産万能集計シートへの入力は、手作業となっています。本来ここも自動化することが望ましいのですが、各社のシステム、業務フロー、記帳方法等によって大幅に異なりますので、各社にてカスタマイズをお願いせざるを得ないのが実情です。

なお、弊社では業務フローや記帳ルールの改善も含めた経理高速化・効率化コンサルティングを実施しております。万能集計シートを使ってより効率的に業務改善を図りたい場合はぜひご連絡ください。

お問い合わせはこちらから

5-2.正確性について

実在する企業数社の実数値を用いて計算チェックを行っておりますが、あらゆる状況に対応していることを確認しているものではありません。必ず決算前に過年度数値を用いて、計算の正確性を確認してください。当計算シートを用いたことにより発生した一切の損害について、弊社では責任を負いかねます。

なお、計算式の不備やバグを発見された場合は、弊社までご連絡をいただけますと幸いです。

5-3.二次利用について

著作権は放棄しませんが、利用者様の責任において無申告で修正・改変することができます。

ただし、著作物への添付、セミナーでの配布、インターネットでの配布等につきましては、必ず弊社までご一報をお願いいたします。

5-4.質問対応について

本記事のコメント欄より質問を受け付けております。
決算大詰めでお急ぎの場合はお電話ください。

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コメント

  1. kj より:

    万能集計シートでの建設仮感情の入力の際、減少額はどこに入力すれば良いのでしょうか?

    1. 経理救援隊 より:

      kj様

      ご回答が遅くなり申し訳ございません。

      建設仮勘定の計上(支出時)は、E38セル(建設仮・「当期増加額」列の「取得原価」行)にプラス数値で入力します。

      建設仮勘定を、たとえば「建物」に振り替えるときには、
      I38セル(建設仮・「仮勘定振替」列の「取得原価」行)に”マイナス数値で”入力し、
      建物勘定の増加額をI14セル(建物・「仮勘定振替」列の「取得原価」行)にプラス数値で入力します。
      こうすることで、最終的にB/Sと一致するはずです。

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