決算をラクに高速化するための1カ月前の事前準備

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決算の事前準備

いよいよ多くの会社が決算を迎える3月末がやってきます。
会社規模の大小を問わず、本決算は経理の一大イベントです。経理パーソンにとって腕の見せ所ですので、しっかりと頑張りましょう。

さて、本決算というと、とにかく忙しくて残業ばかりになって辛いものというイメージがあります。確かに短期間で多くのことをこなさなければならず、簡単なものではありません。しかし、決算作業を注意深く振り返ると、実は決算が始まる前からできる作業は案外多く、これを事前に準備しておくだけで、本当に忙しい時期の作業がサクサク進むことも少なくありません。

今回は、そんな決算前にやっておくべき事前準備をご説明します。特に1カ月後に怒涛の決算期を控える方は、今しっかり読み込んで、1カ月後にラクをしてください。

1.事前に仕入れておくべき決算の知識

本決算自体は1年に1回訪れますが、まったく同じ決算はありえません。
毎年会計基準や税制の改正によって作業内容も変わりますし、新しい取引があればそれに対応しなければいけません。

決算の忙しい時期に、新しい知識を得るために本を読んだり検索したりすることは、大きな無駄になります。調べ物は決算前に終わらせ、万全の状態で決算に挑みましょう。

1-1.公認会計士や税理士に訊く

顧問契約している公認会計士や税理士に、今回の決算で留意すべきポイントを尋ねましょう。普段会社の帳簿をきちんと見ている公認会計士や税理士であれば、一般論だけではなく貴社に最適なアドバイスをしてくれます。決算で必要になる資料もしっかり確認しておきましょう。

なお、公認会計士と税理士は担当分野が異なるため、相手の分野には遠慮して踏み込んだアドバイスをしないことがあります(たとえば会計士は、税務に詳しくてもあえて言わないことがある)。
経理としては全般的なアドバイスがほしいので、遠慮せず何でも言ってもらうよう促しましょう。

1-2.大手監査法人、税理士法人のサイトを見る

3月に入ると、大手監査法人や税理士法人が決算の留意点をまとめて公表してくれます。短時間にタダで情報が取得できるので非常に便利です。

平成29年3月期 決算上の留意事項(新日本監査法人)[外部]

1-3.雑誌を読む

この時期は有料の雑誌でも「3月決算特集」と題して解説を掲載します。「旬刊経理情報」や「経営財務」「税務通信」などが有名です。

有料だけあって情報量は豊富で、細かいところまでしっかり解説してくれます。

1-4.他社の開示を見る

どちらかというと3月決算以外の上場会社向けですが、他社が最新の会計基準にどのように対応しているかは非常に有用な情報です。先に開示している同業他社があれば、必ず全体に目を通しておきましょう。

2.関係者との打ち合わせはすべて終わらせる

監査法人や税理士、社内の他部署や関係会社の担当者などとの打ち合わせは、決算前にすべて終わらせておきましょう。

2-1.監査法人・税理士との打ち合わせ

上述の必要な知識の仕入とも関連しますが、監査法人や税理士、外部コンサルタント等には、必ず決算前に留意点を確認しましょう。

新会計基準や税制改正以外にも、減損判定や税効果会計の回収可能性判断、状況変化による節税策の適用可否など、会計・税務の考え方は1年で大きく変化することがあります。最後に大きな会社修正が入ると、作業のやり直しや経営層への説明などで大わらわになりますので、可能な限りリスクを回避することが大切です。監査法人に「前に行っていたことと違うじゃないか!」と思うこともありますが、そんなことを言ってもどうしようもないので、きちんとコミュニケーションを図って状況変化は早急に察知しましょう。

2-2.他部署や関係会社の担当者との打ち合わせ

他部署への資料作成依頼や関係会社担当者への連結パッケージ入力方法説明も、すべて事前に終わらせておきます。
決算作業中は隣の部署の人とすら会って話す時間は勿体ないものです。少しでも時間を短縮できるように、事前にしっかりと打ち合わせておきましょう。

子会社担当者に連結パッケージを依頼しているときは、必ず前回修正が必要だった箇所を教えてあげましょう。直前に再度教えてあげないと、なかなか直ってはきません。

3.決算日前にできる決算作業はかなりある

決算作業のほとんどは、最終月の月次決算が終了しなければ❝完了❞することはできません。しかし、だからといって決算日の前は何もしなかったのでは、決算作業が余計に忙しくなってしまいます。

作業内容を細分化すれば、「完了はできないけど途中まで終わらせることはできる」作業は少なくありません。まずは決算前に作業手順を書き出して、先にできることはないか検討しましょう。

3-1.作業手順を見える化する

決算前の事前準備担当している決算作業の作業手順を書き出します。

基本的にはWordで簡単に作ればいいでしょう。色々修正が入りますので手書きはお勧めしませんが、「期限」や「備考」といった欄まで作りこみたいならExcelを使いましょう。

作業手順を書き出しておくことによって、作業の全体像を見える化することができ、忙しい決算時期に「次は何をすればいいんだっけ?」と考える時間を短縮できますし、決算作業漏れのチェックリストとしての活用もできます。書き出す段階からこのような活用をイメージして、忙しいときに使いやすい内容にしましょう。

3-2.作業を3つに分類する

書き出した作業を見ながら、以下の3つに分類します。

  1. 最終月の数値が締まる前に終わらせられる作業
  2. 最終月の数値が締まる前でも半分以上進められる作業
  3. 最終月の数値が締まるまで何もできない作業

上記のうち、1が決算前に終わらせておくべき作業、2が決算前に着手しておきたい作業です。

3-3.決算前にできる作業の例

3-3-1.記帳ミスのチェックは最終月の前月までできる

補助元帳を通査の通査や月次残高推移の確認といった記帳ミスがないかチェックする作業は、最終月の分はできなくてもそれ以前の分までは終わらせることができます。

最終月以外を事前にチェックしておくことによって、決算時の作業は最終月だけ確認すればよくなり、単純に作業とミスの可能性を12分の1にすることができます。

3-3-2.決算用Excelシートでリハーサル

決算で使う計算用のExcelシートは、決算前にすべてメンテナンスしておきましょう。前期末や第3四半期など、決算前でも確定しているデータはすべて入力し、決算では最終確定値を入力するだけでよい状態にしておきます。

このとき11カ月分のデータでリハーサルをしておくとより効果的です。11カ月分でも前年比較しておくことで、大まかな傾向や必要な決算整理仕訳が再確認できますし、一度リハーサルしておけば決算作業本番でサクサク進めることができます。

3-3-3.残高確認状も数字以外は準備できる

残高確認状が大量にある場合、返信用封筒を折りたたんだり切手を貼ったりするだけでもかなりの時間が必要になります。これらは事前にできる作業ですので、返信用封筒は入れる直前まで作っておきましょう。

また、残高確認状の印刷は、

  1. 会計システムから残高データ出力
  2. Excelで加工
  3. Wordの差し込み文書で印刷

という手順の会社が多いかと思います。ExcelとWordのメンテナンスは事前に済ませておき、残高確定後スムーズに印刷できる準備を整えましょう。

3-3-4.定性情報は決算前から作り始める

上場会社では決算短信に定性情報を記載しますが、この内容は経理だけでは作りづらいところです。そこで、決算前に着地見込みの精度が高まった段階で、どのような記載にするかのミーティングを開始します。

決算の結果、大きな監査修正が入って定性情報も修正を余儀なくされることもありますが、その場合でも事前に作ったものが叩き台になり、比較的スムーズな修正が可能になります。

おわりに

決算を憂鬱と感じる経理パーソンも多いですが、私は楽しいものだと考えています。なぜなら、それまで知恵を絞って準備してきたことがうまく進むのかが確認できるからです。

事前準備の狙い通りトントン拍子に進むと爽快ですし、うまく行かなかったら次は頑張ろうという気持ちにさせられます。経理スキルはこの繰り返しによるところが大きく、前向きに捉えることが何よりも大切と考えます。

決算前の1カ月。今年は例年より少しだけ時間を作って、今何ができるかじっくり考えてみましょう。

経理高速化のPDCAにおいて月次決算が「C」であるワケ

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