企業調査で有名な帝国データバンクが、8%への増税時に、外部調査員に対して増税分を値引しなかったとして、公正取引委員会の是正勧告を受けたそうです。
帝国データバンク、増税分1億円を未払い 公取委が勧告(朝日新聞)
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消費税の増税分を上乗せせずに委託先に報酬を支払っていたとして、公正取引委員会は9日、調査会社大手の「帝国データバンク」(東京都港区)に消費税転嫁対策特別措置法違反(買いたたき)で是正勧告を出し、発表した。未払い額は約1億300万円で、同法違反では過去2番目の高額という。
同社は企業の信用調査などの業務を委託した調査員の報酬について、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年4月以降、昨年6月までに調査員約670人の増税分計約1億300万円を上乗せせずに支払っていた。
個人事業主への報酬で増税分を上乗せしていなかったケースは相次いでおり、公取委はこれまでに同法違反の勧告を38件出している。
事件の背景
課税事業者と免税事業者
消費税には「課税事業者」と「免税事業者」がいます。
課税事業者とは、消費税を納付する義務を負っている事業者で、ほとんどの会社がこちらに該当します。
一方、免税事業者とは、消費税を納めなくていい事業者です。年商1,000万円以下の個人事業主が該当し、得意先から受け取った消費税部分は自分の売上に入れてしまってもよいのです。
帝国データバンクはここに注目して、「どうせ国に支払わないのだからその分値引な」と言って増税分を支払わなかったものと思われます。
免税事業者は丸儲け?
一見、免税事業者にずいぶん有利な制度ですが、実際にはそんなに有利というわけではありません。
課税事業者は、得意先から受け取った消費税(仮受消費税)と仕入先に支払った消費税(仮払消費税)を相殺した残額を国に納付します。つまり、仕入先に支払った消費税は取り戻すことができます。
これに対し、免税事業者は受け取った消費税を懐に入れる代わりに、仕入先に支払った消費税は自腹です。結果として、儲けが出るのは受け取った消費税と支払った消費税の差額部分のみになります。
転嫁不足は厳しく禁止されている
このような計算構造ですから、免税事業者だからといって増税分を値引きされては、仕入先に支払った分だけ損をします。調査員と言えども、旅費交通費を初めとして調査費用は掛かりますので、その分損をしたことになります。
増税の際には、国もこのような値引きが横行しないように、消費税増税分はきちんと下請事業者に転嫁するよう、厳しく指導していました。増税から間もなく3年のこのタイミングが早いのか遅いのかはわかりませんが、まだまだ時効ではないのは間違いないでしょう。
それにしても、帝国データバンクさん、結構な情報料ですけど、結構セコいんですね・・・