のれん

【仕訳で納得】のれんの税効果会計と資産調整勘定の経理

M&Aで子会社や事業を買収した際に登場するのが「のれん」という無形固定資産です。

会計基準により、のれんには税効果会計を適用しないというルールになっています(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針 第72項)。

子会社を買収した場合には、個別財務諸表上(=税務上)はのれんが計上されず、連結財務諸表上には計上されているので、連結納税適用でない限り税会不一致が生じているはずです。そして、将来は連結会計上はのれん償却により費用が発生し、利益水準が下がるのに、税務上はのれん償却もないので、利益水準より税金が多く発生します。

つまり、将来の(利益水準に対する)税負担増加効果であり、繰延税金負債を計上すべき事由に当てはまるはずです。にもかかわらず、税効果会計の対象外になっています。

繰延税金負債の計上すべき事由に関する説明は、「【図解】税効果会計に苦戦する理由は、その意味の誤解にある」をご覧ください。

これだけでも不思議なのですが、さらに、のれんが生じることで、繰延税金資産が計上されることもあるのです。繰延税金負債ではなく、繰延税金資産です。いったいどのようなケースなのでしょうか。

今回は、摩訶不思議なのれんと税効果会計の世界について、仕訳を交えながらわかりやすくご説明します。

のれんの税効果はM&A価格の引き上げに使うことも可能です。詳しくは関連サイトの「M&A価格を跳ね上げる最強の【のれんの節税効果】徹底解説」という記事をご覧ください。

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のれんの減損が頻発するM&Aの構造的な5つの問題

のれんが減損する理由

日本郵政グループが赤字転落を発表しました。原因は2015年に買収した海外子会社ののれん等約4,000億円が減損したことによります。

日本郵政社長「負の遺産を断つ」 民営化後初の赤字(日経新聞)[外部]

今世間を騒がせている東芝も買収した子会社の減損によって大幅な債務超過に陥っています。なぜ買収した子会社はこうも減損するのでしょうか。

この背景には買収した会社の判断ミスなども当然ありますが、M&Aの構造的な問題も横たわっています。今回はその問題に切り込んでみましょう。

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