2つの戦略で合格する独学初心者のための簿記3級勉強法

独学初心者のための簿記3級勉強法

忙しい日々を縫って日商簿記3級にチャレンジしようとしている皆さん。
このサイトは、簿記3級の受験生が忙しくてもスキマ時間を活用して勉強し、簿記3級に余裕で合格するための勉強方法を解説し、それを実践する教材を提供しています。

簿記3級は、ただひたすら時間を掛けて勉強して合格することも不可能ではありません。
ただ、それよりもラクに、効率的に、合格することも可能です。合格のコツは頑張ることではなく、「適切な勉強を工夫してうまくやる」ことです。

どんなに忙しくても、工夫次第では割と簡単に合格できます。一方でこの工夫を知らなければ、努力に努力を積み重ねても合格するとは限りません。

その工夫を一言でいうと、簿記3級試験の特徴を知り、その特徴に合わせた攻略法を覚え、攻略法を実現するために戦略的に勉強することです。

本記事ではそんな、簿記3級を、忙しくても、ラクに、効率よく学び、合格に直結させる勉強法をご紹介します。具体的には、合格するまでの「勉強戦略」は大きく2つであり、この2つをしっかりこなすだけで、無理なく合格することが可能です。

この内容をしっかりと理解し、受験日までしっかりと実践すれば、どんなに忙しくても合格することができるでしょう。

スポンサーリンク

1.筆者の経験談

まずイントロダクションとして、私の経験談についてお話しさせていただきます。

こんなサイトを作るぐらいですから、簿記関係の試験に関してはそれなりに成功した自負があります。自慢臭くていやだ!という方は、読み飛ばしていただいて構いません。

1-1.私の資格経歴

さて、最初に申し上げると、大変恐縮ですが、私、日商簿記3級は受けたことがありません(どどーん)

その代わり、以下の試験に合格しています。

  • 日商簿記1級
  • 全経簿記上級
  • 公認会計士試験短答式(1次試験)
  • 公認会計士試験論文式(2次試験)
  • 公認会計士修了考査(最終試験)

簿記3級の勉強は、簿記1級の前に1週間勉強し、資格学校の学内試験をパスしました。
ちなみに満点でした。
(マジキチスマイル
なので、わざわざ簿記3級の本試験は受けなかったんです。2級もすっ飛ばして1級だけ。

ついでに言うと、上記の資格試験はいずれも、実感では余裕で受かっていると思います。合格者の成績が開示される試験でいうと、日商の合格点は忘れましたが、全経は99点(どこで1点落としたんだ?)、公認会計士論文式は合格者の上位5%内に入っています。(私のときはそもそもの合格率が8%ぐらいだったので、上位0.4%ぐらいですかね)

ちなみにですが、本格的に勉強を始めてから、日商簿記1級合格までは2カ月半、公認会計士試験短答式合格までは9カ月、論文式試験合格までは1年半でした。幸いなことにすべて一発合格で、いわゆる最短ルートです。

1-2.私の学歴

さて、公認会計士まで取っていますので、「商学部でしょ?」とか「経済学部でしょ?」とか、はたまた「理系でしょ?」とか訊かれたりします。

すみません、正解は文学部です。大学時代は日本史の研究してました。卒論のテーマは「佐藤栄作政権期の東南アジア開発外交」です。

学校はそんなにエクセレントなところではなく、地方の大学です。地元じゃ有名な大学なので悪い学歴ではないと思ってはいますが・・・

数学は未だに全然苦手ですし、もちろん数字に強いわけではありません。合格後は会計の仕事をしているのでやっと慣れてきたところでしょうか。

1-3.短期間で合格できた、たった1つの理由

そんな私が、なぜ簿記試験に余裕で合格できたのか?
それは、私が採用していた勉強法が、簿記試験の攻略法に非常にマッチしたものだったからです。

では、私が採用していた勉強法とはいったいどのようなものなのか?それを説明する前に、簿記3級試験の攻略法について解説したいと思います。簿記3級試験の特徴を掴み、攻略法を分析したうえで、それにマッチした勉強法を採用することが、合格の近道だからです。

2.簿記3級試験の攻略法




2-1.簿記3級試験に求められる2つのチカラ

まずは簿記3級試験の特徴を分析しましょう。特徴を知れば攻略法が見えてきます。

簿記3級試験の特徴は、大きく2つのチカラが求められているということです。

  1. 仕訳力
  2. 計算・集計力

それぞれの内容は以下のとおりです。

2-1-1.仕訳力

独学初心者のための簿記3級勉強法簿記の基本は「仕訳」です。(仕訳とは、取引を帳簿に書き込む際の簿記特有の記録方法です)

この仕訳を素早く適切に切る(作成する)力が試されます。

問題文が指示する仕訳をきっちりと切ることが何よりも重要であり、簿記3級ではほぼすべての問題でこの力が問われます。

2-1-2.計算・集計力

第2問の帳簿問題、第3問の試算表問題、第5問の精算表問題で問われる力です。

帳簿に適切に記入したり、計算用紙にT勘定を書いたりすることで、簿記の総合的な理解と作業の正確性が試されます。とにかく焦らず落ち着いて取り組むことが重要です。

2-2.それぞれのチカラの重要性

2-2-1.合格のためには仕訳力が最重要!

独学初心者のための簿記3級勉強法

仕訳力こそ簿記の実力の土台になる

それでは、仕訳力と計算・集計力のどちらが大切でしょうか?それは圧倒的に仕訳力のほうが大切です

上述のとおり、ほとんどの問題では仕訳力がないと太刀打ちできません。試算表問題や精算表問題は計算・集計力も問われますが、これは自分で切った仕訳を集計する作業が中心ですので、仕訳力がなければ元も子もありません。

言ってみれば、仕訳力は「国語力」のようなものです。国語力がないと国語のテストだけでなく、すべての教科でいい点は取れません。

2-2-2.計算・集計はスポーツだ

一方の計算・集計力ですが、これはスポーツのようなもので、練習することによってコツを掴むことが大切になります。

簿記3級における計算・集計はまったく難しくありません。方法を覚えて、丁寧に実践するだけでマスターできます。暗記するほどのものでもなく、数回問題を解けば力が付きます。

2-3.2つの戦略による簿記3級の攻略法

簿記3級で問われる力の特徴は上記のとおりですので、それぞれの力を効率的に身に着ける勉強法を採用することが、最大の攻略のカギとなります。

2-3-1.反復練習で仕訳力を磨く

まず、仕訳力を引き上げるには、仕訳問題の反復練習で素早く仕訳を切れるように訓練しましょう。

簿記は非常に合理的にできているため、少し時間を掛けて考えれば答えが出ることもあります。しかし、試験時間は限られるため、ムダなく速やかに仕訳が切れるようにならなければなりません。そのためには練習あるのみです。
重要なことは「反復」練習です。仕訳力を磨くためには、何度も何度も仕訳を思い起こす練習をしましょう。

独学初心者のための簿記3級の勉強法このとき重要なのは、仕訳を作るプロセスを繰り返し再現することです。机に座り、仕訳を紙に書いて頭に叩き込む必要はありません。ベットに転がって頭の中で仕訳を思い出すだけで十分です。

当サイトでは反復練習に最適な問題集を無料で公開しています。詳しい勉強の仕方は後述しますが、スマホで手軽に見ることができますので、寝る前やトイレの時間、通勤・通学時間などのスキマ時間に繰り返し繰り返し勉強しましょう。

2-3-2.過去問を解いて計算・集計力を磨く

もう一方の計算・集計力ですが、こちらは仕訳力とは逆のアプローチが必要になります。

つまり、机に座って、電卓を叩きながら、集中して練習しましょう。イメージトレーニングだけではスポーツはうまくならないのと一緒で、実践しなければ計算・集計力は身に付きません。

一方で、簿記3級の計算問題は単純なので、何度も何度も繰り返し解く必要はありません。4~5回分の過去問を集中して解けば、(仕訳力さえあれば)十分合格レベルに達します。

時間に余裕がある場合は、大昔の過去問や予想問題集に手を出すよりも、同じ過去問を2回ずつ解くことをおすすめします。1回目はボロボロでも問題ありません。2回目で満点を取れるように、間違った問題の解説をじっくりと読み込んで理解しましょう。

2-4.簿記3級の攻略法のまとめ

簿記3級の攻略法をまとめると以下のとおりです。

  • 簿記3級の合格に必要な能力は「仕訳力」と「計算・集計力」である。
  • 仕訳力は、仕訳問題の反復練習によって伸ばす。机に座って書きながら覚えるより、スキマ時間に何度も繰り返し思い出すことが重要。
  • 計算・集計力は、過去問4~5回分を集中して解くことで培われる。こちらは机に座って時間を図りながら、実戦さながらの模擬試験を経験することが大切。

では、具体的にどのように勉強したらよいか、次項で説明しましょう。

3.3つのサイクルで仕訳力を効率的に磨く勉強法

仕訳力を培うためには、人間の「物を覚える3つのサイクル」を利用します。
3つのサイクルとは何かは後述しますが、これはスキマ時間でも手軽にでき、かつ、本番でもパッと適切な仕訳が切れるようになる、独学に最適の勉強法です。




3-1.記憶に必要な2つの要素

さて、皆さんは「覚える」ときはどのように勉強しているでしょうか。
念仏のように繰り返し唱えたり、紙に書き続けたり、いろいろ方法があると思いますが、効率的に記憶するためには、以下の2つの要素を組み合わせる必要があります。

  • 理解する
  • 思い出す
独学初心者のための簿記3級勉強法

シナプスが複雑化しニューロンの結びつきが強まると、記憶は定着していく

人間の記憶は脳内にある「ニューロン」と呼ばれる神経細胞に溜まっており、ニューロン同士が信号を送り合って記憶を定着させていきます。この構造をシナプスと言いますが、思い出すことによってシナプスが複雑化(ニューロン同士のつながりが強くなる)し、知識が定着していくのです(厳密な学術的定義ではないかもしれませんが、「思い出す」ことが記憶の定着に最重要であると私も実感しています)

3-1-1.理解する

覚えなければいけないことは、それがどういったものなのか、すでに覚えていることとどのような関連性があるのかといったことを、腹落ちするまでしっかり理解しましょう。しっかりと理解したことのほうが、理解できていないことよりも圧倒的に覚えやすくなります。

3-1-2.思い出す

記憶を定着させるためには、この「思い出す」というプロセスが非常に重要です。

思い出すたびにシナプスが発達していくため、一度思い出しておくと、再度思い出すことが圧倒的に容易になります。二度思い出したことは、三度目にはもっと簡単に思い出せるようになります。本番までにたくさん思い出す経験をしておくことで、本番でもパッと正しい仕訳の切り方が思い出せるようにしておきましょう。

3-2.記憶を定着させる3つのプロセス

「理解する」と「思い出す」を繰り返せば、仕訳の形や考え方がどんどん定着していき、仕訳力はメキメキと伸びていきます。

実際には、思い出すためには「忘れる」というプロセスが入りますので、以下の3つのサイクルを繰り返すことになります。

  1. 理解する
  2. 忘れる
  3. 思い出す
独学初心者のための簿記3級勉強法

理解する、忘れる、思い出すのサイクルで記憶は定着する

3-2-1.「忘れる」というプロセスの重要性

3つのサイクルにおける「忘れる」というプロセスの重要性を侮ってはいけません。

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。試験で必要なのは、当然長期記憶のほうです。
短期記憶を長期記憶に写していくためには、一旦短期記憶を忘れ、長期記憶として思い出す必要があります。短期記憶を保持したまま長期記憶にしていくことはできません。したがって、「忘れる」というプロセスは、長期記憶を作っていくために必要不可欠なものなのです。

例えば、勉強の合間に休憩と称して30分間ゲームをしていても、その後にきちんと思い出す作業をしていれば、ゲームも立派な勉強法の一部なのです。(やりすぎてしまえば元も子もないですが)

3-2-2.「思い出す」から「理解する」への戻り方

3つのサイクルは何度も何度も繰り返すものです。思い出したらそれでおしまいでは意味がありません。またすぐ忘れてしまうだけです。

「思い出す」ことに成功したら、自分がそのことをきちんと「理解」しているか、自分に問いかけて確かめましょう。

  • 「なぜそうなるのか」の理由まで思い出すことができるか
  • 思い出したことを他人に理論的に説明できるか
  • 自分の知識に漏れはないか、忘れたままのことはないか
  • 関連論点との関係性はきちんと理解できているか

思い出した直後にこれらを再確認することによって、理解はより深まり、知識はより定着していくのです。




3-3.仕訳力を磨く効率的な勉強法

前置きが長くなってしまいましたが、では、どのように勉強すると、上記の3つのサイクルを効率的に回し、仕訳力を高めていくことができるのか、具体的な勉強方法についてご説明しましょう。

仕訳力強化プロセス1.テキストを読んで「理解」する

独学初心者のための簿記3級勉強法

テキストを読んでしっかり理解しましょう

まずはしっかりと「理解」する必要があるので、テキストから入ります。

簿記3級は独学者が多いため、非常に理解しやすい充実したテキストが出ています。以下の記事でおすすめテキストとその特徴をまとめていますので、自分に合った最適なテキストを選んで購入しましょう。

独学初心者におすすめの簿記3級市販テキスト徹底比較
当サイトがおすすめする簿記3級のテキストはこの4つ!初心者が独学でサクッと合格するために必要なポイントも解説。自分に合ったテキストを選びましょう。
テキストの読み方

テキストを読む際は、自分で「理解している」と実感できるように読み進めましょう。疲れていると字面だけを追ってしまうことがありますが、それでは何の意味もありません。

机に座って読む必要はありませんが、なるべくマーカーとシャープペンを手元に用意し、重要と感じたところをマークしたり、気が付いたことをメモ書きしていきましょう。

テキストの練習問題は解かなくてよい

テキストには単元ごとに練習問題がついています。テキストを読みながら解いてもいいのですが、忙しい場合は解く必要はありません。あとでじっくりと反復練習をしますので、まずはテキストを読み進めることを優先しましょう。

テキストを読む順番

当サイトでは簿記3級の仕訳問題をレベル別に分類し、手軽に反復練習ができるように編集しています。テキストの各項目を読む順番も、このレベル別問題集の出題順に合わせることをおすすめします。

順番 項目 当サイト問題集
との対応
Step.1 商品売買
現金預金
約束手形
有価証券
レベル1
Step.2 上記以外の
期中取引
レベル2
Step.3 決算整理
固定資産
消耗品
レベル3
Step.4 帳簿
試算表
伝票
精算表
レベル4

仕訳力強化プロセス2.一旦休憩して「忘れる」

テキストにおいて、上記の各Stepのページを読み終えたら、次は対応するレベルの問題集にトライするのですが、もし読んだばかりであれば一旦休憩しましょう。

このとき、短期記憶を一旦キレイになくします。休憩と言いながらテキストをパラパラめくって眺めることはしてはいけません。

仕訳力強化プロセス3.レベル別問題集にトライする

一息入れて短期記憶をなくしたら、いよいよレベル別問題集にチャレンジしましょう。仕訳力を鍛えるのはレベル1~3までです。

簿記3級スキマ時間活用レベル1問題集
簿記3級の基礎知識を定着させる基本問題集。スマホで寝そべりながらでも、繰り返し答えをイメージするだけでみるみる実力が上がっていきます。短時間の独学でらくらく合格したい人向け。
レベル別問題集の解き方

独学初心者のための簿記3級勉強法レベル別問題集は正解できるかを試すものではありません。仕訳の形や考え方を「思い出す」ためのものです。

したがって、紙に仕訳を書き出して、全部終わったら答え合わせ・・・という解き方はおすすめしません。

1つひとつの問題文を読んでいき、仕訳を考えてください。頭で仕訳を思い浮かべて、自信があったら答え合わせは不要です。どんどん先に進んで、回転数を上げましょう。

頭の中で完結させますので、必ずしも机で解く必要もありません。スマホ片手に寝転がりながらでも、きちんと集中して取り組んでいれば問題ありません。

また、すべて暗算で解ける問題にしてありますので、電卓を用意する必要はありません。ただし、テキストは必ず手の届く場所に置いておき、疑問に思ったことはすぐに調べられるようにしておきましょう

解けない問題に出会ったら

解けない問題や自信がない問題に出会ったら、「問題を解く」のリンクをクリックし、個別の問題のページに移動しましょう。

そして、まずはそこに書いてあるヒントを見ましょう。なるべくヒントだけで答えが導き出せるよう、少し頑張って考えてみてください。ヒントから「思い出す」ことができれば記憶の定着が早まります。

ヒントでわかってもわからなくても、画面をスクロールして正解を確認します。考え方のポイントも併せてじっくり読みましょう。

また、それでも理解しきれていない、思い出しきれないという場合は、必ずテキストの該当ページに戻って確認しましょう。うろ覚えの状態こそ、記憶を定着させるチャンスです。

個別の問題のページでは、関連問題も掲載しています。記憶が新鮮なうちに関連論点を「思い出す」ことで、論点相互間の関係が見えるようになり、理解はさらに深まり、記憶はより早く定着します今が効率的に勉強するチャンスですので、必ず目を通して、分からない場合はその問題の個別ページも確認しましょう。

さらに、当サイトでは各問題のページのコメント欄で質問を受け付けております。「なぜこういう仕訳になるの?(こうはならないの?)」「こちらの仕訳とは何が違うの?」などの疑問はしっかり解消して理解を深めましょう。

仕訳力強化プロセス4.スキマ時間で繰り返す

仕訳力は頭の中で繰り返し繰り返し反復することによって磨かれます。何度も何度も繰り返しましょう。

当サイトのレベル別問題集は、ちょっとした空き時間(スキマ時間)でも勉強できるように工夫されています。スマホ、タブレット、家のPC、会社のPCにお気に入り登録しておいて、スキマ時間にすぐアクセスできるようにしておきましょう。

スキマ時間の例

独学初心者のための簿記3級勉強法スキマ時間は意識しているとあらゆる場面に存在することがわかります。ついぼーっと過ごしがちな時間こそ、最適な勉強時間なのです。

  • 通勤・通学の電車やバスの移動中
  • トイレ休憩中
  • 始業前、昼休み中、休み時間中
  • 飲食店で食事ができるのを待っている時間

仕訳力強化プロセスのまとめ

仕訳力を強化するプロセスは以上のとおりです。すなわち、

  1. 理解する
  2. 忘れる
  3. 思い出す

の3つのサイクルを意識的に回すことができれば、仕訳力はみるみる上がっていきます。一度も机に向かわなくても、合格レベルの仕訳力を獲得することは十分に可能です。

ただし、前述のとおり、もう一方の「計算・集計力」を磨くためには、多少机に向かって電卓を打つ練習が必要です。次項では計算・集計力を磨く具体的な勉強法を解説します。




4.ムダのない勉強時間で計算・集計力を磨く勉強法

簿記における計算・集計問題は、電卓と計算用紙を使って素早く正確に回答を導き出す作業であり、スポーツのようなものです。
スポーツの上達にはコツを掴む練習が必要であるように、計算・集計力の強化にも練習が不可欠です。簿記3級ではそんなに練習回数を重ねる必要はありませんが、最低数回は過去問を解いて、慣れておく必要があります。

そのため、計算・集計力の強化は「勉強」というよりも「練習」と言ったほうが意味合いが近いと思ってください。仕訳力の強化はベッドに転がってスマホをいじっているだけでも「勉強」ですが、計算・集計力の強化は本番に近い状況でなければ「練習」になりません。

4-1.過去問で実戦練習

計算・集計力を強化する練習に最適なのが過去問です。
過去問とまったく同じ問題は出なくても、出題のされ方は大差ありません。十分な仕訳力があり、過去問の出題傾向に慣れてさえいれば、どのような問題が出ても怖くはありません。

4~5回分は過去問に当たり、時間配分や計算用紙の使い方も含めて慣れておきましょう。過去問の使い方は追って解説します。
 

4-2.計算・集計力を磨く勉強期間と開始時期

スキマ時間でできる仕訳力の強化とは違い、計算・集計力は過去問を解くための勉強時間が取られるため、計画的に進めたいところです。

4-2-1.先に仕訳力から強化すること

上述のとおり簿記3級では、仕訳力と計算・集計力を比較すると圧倒的に仕訳力が重要です。
計算・集計問題を解いてもある程度の仕訳力は身に付きますが、レベル別問題集を繰り返し解く方が仕訳力を効率的に培うことができます。

まずは仕訳力の強化を優先課題として取り組み、レベル別問題集のレベル1~3までをしっかり勉強しましょう。8割ぐらいの仕訳問題が難なく解けるようになったら、計算・集計力の強化に取り組みましょう。

4-2-2.2週間前の土曜から始めるのがおすすめ

本試験は日曜日に開催されます。土日をしっかり勉強時間にできるのであれば、2週間前の土曜(15日前)から計算・集計力の強化に取り組むことをおすすめします。
それまでにレベル1~3の問題を8割方解けるようにし、テキストも全項目に目を通しておきましょう。

本試験問題は回答時間が2時間ですので、忙しいと土日に集中して取り組むことになります。2週間前の土曜に始めた場合、以下のように1回の土日で2回分をこなすスケジュールで過去問に当たりましょう。

解く過去問 備考
前々週の土曜 4回前と5回前 どんなに間違ってもいいから最後まで解く
前々週の日曜 4回前と5回前 時間内に全問回答できるように解く
平日 4~5回前の復習 間違えた論点を意識してレベル別問題にあたる
前週の土曜 3回前を2回解く 本番さながらに集中して解く
2回目は全問正解を目指す
前週の日曜 2回前を2回解く 本番さながらに集中して解く
2回目は全問正解を目指す
平日 2~5回前の復習 間違えた論点を意識してレベル別問題にあたる
前日の土曜 成績の悪かった問題を再度
余裕があれば直前か予想問題
本番さながらに集中して解くこと
80点以上を目指すこと

前々週の土日は試験問題に慣れることが大切です。1回目は一応時間は測りつつも、どんなに時間が掛かってもいいので最後まで解きましょう。2回目は時間内に終わるように集中して取り組みましょう。

前週の土日には、本番さながらのテクニックを試していきましょう。初めての問題をどう攻略するか考え、採点もして70点に行くか否か確認しましょう。

前日の土曜は最後の総仕上げです。2~5回前の過去問のうち、成績の悪かったものを解きましょう。一度やった問題はすでに十分だという場合は、直前の過去問か予想問題をやってみましょう。これで8割程度取れたら、もう合格は手の中です。

どんなに遅くとも1週間前には始めよう

計算・集計力はコツを掴めばまったく難しくありませんが、コツを掴むまでの時間には個人差があります。最低でもこのコツを掴んでから本試験に望みたいところです。

そこで、仮に仕訳力の強化が進んでいなくても、遅くても1週間前から過去問に取り掛かりましょう。1週間ならどんな人でもコツを掴めるでしょう。それ以下の日数では個人差に左右されます。

4-3.過去問の解き方・取り組み方

4-3-1.たったこれだけで成果が変わる!

本番さながらに集中しましょう

スポーツで集中せずに練習しても効果が薄いように、過去問をただ漠然と解いてみても計算・集計力はあまり身に付きません。過去問に挑戦するときは以下の点を意識してください。

①時間を測る

試験時間は2時間です。最初は終わらなくてもいいので、必ず時間を測って解きましょう。

これは時間配分を組み立てるうえでの重要な経験になります。時間配分を間違えると、いわゆる「捨て問」に足を取られるリスクがあります。

②計算用紙を使う

計算・集計作業は必ず計算用紙を使って解きましょう。本番では白紙のA4用紙で計算する必要があるため、計算用紙はA4のコピー用紙を使います。

③見直しの時間を作る

簿記の大敵は「イージーミス」「ケアレスミス」です。単位を間違えたり、指定の勘定科目を使っていなかったり、電卓を打ち間違えたりといったもので、ひっかけも少なからずあります。

慣れてくると2時間以内にすべての問題が終わりますので、前倒しで答え合わせをするのではなく、必ず見直しの時間を設けましょう。見直しに慣れてくると、見直しをするために必要な計算用紙の書き方も覚えられてきます。

おわりに

独学初心者が簿記3級に合格するために必要な勉強法は以上です。つまり、

  • 合格には「仕訳力」と「計算・集計力」が必要
  • 仕訳力は、テキストを理解し、一旦忘れ、レベル別問題を繰り返し解いて思い出すことによって培う
  • 計算・集計力は、過去問を4~5回分、本番さながらの環境で解くことによって培う

これだけのことを実践すれば、簿記3級は必ず合格できるでしょう。

書き切れなかった各論は追って説明していくつもりです。さっそく自分に合った教科書を選んで、簿記3級の勉強を始めましょう!

独学初心者におすすめの簿記3級市販テキスト徹底比較
当サイトがおすすめする簿記3級のテキストはこの4つ!初心者が独学でサクッと合格するために必要なポイントも解説。自分に合ったテキストを選びましょう。
ご質問はコメント欄からどうぞ
ご質問はページ下部のコメント欄で受け付けております。
疑問は必ず解消して理解を深めましょう!
スポンサーリンク