独学で簿記の勉強を始めようと書店に行ったけど、本がたくさんあってよくわからない!という方は多いと思います。
簿記3級は独学で勉強される方も多いので、テキストも様々なものが販売されています。そして、テキストの出来としてはピンキリで、同じ出版社でも全然違う品質の本が溢れています。
テキストはそう何冊も読むものではないので、自分に合った本を慎重に選びましょう。
今回はそんな中で、当サイトが考えるテキスト選びのポイントと、初心者にズバリおすすめする簿記3級のテキスト4冊を比較します。
1.簿記3級のテキスト選びの4つのポイント
簿記初心者が短時間でらくらく合格するために必要となる、テキスト選びのポイントは以下の4点です。
- イラストが充実していること
- 事業活動がイメージしやすいこと
- 試験本番の解法がレクチャーされていること
- 本試験レベルの問題に対応していること
以下それぞれ内容を解説します。
テキスト選びのポイント① イラストが充実していること
短期間で記憶を定着させるためには、イラストを見て視覚的を刺激することが大切です。
人間は文章だけで物を覚えようとするより、絵や写真を見ながら覚えた方が、圧倒的に記憶しやすくなります。
また、単なる幾何学的な関係図だけでなく、生き生きしたキャラクターやカラフルな多色刷りのほうが、記憶力を掻き立てやすくなります。
テキスト選びのポイント② 事業活動がイメージしやすいこと
簿記3級の受験生は、高校生や大学生、社会人1~2年目の方も多いでしょう。簿記3級は「個人商店の経理」を試験範囲にしていますが、個人商店というものが日々どんな業務をしているか知らない人も多いと思います。
簿記は机の上の作業ですが、取り扱うのは売上/仕入といった現場の作業そのものです。事業活動が具体的にイメージできているのといないのとでは、記憶のハードルも全く異なってきます。
そこで、取り扱っている事業活動がどのようなものなのか、具体的にイメージしやすく工夫されているテキストをおすすめします。
テキスト選びのポイント③ 試験本番の解法がレクチャーされていること
簿記は知識だけでなく、簿記という記帳技術に関する理解が必要です。
とはいえあくまで紙の上のテストですので、高得点を取るためのテクニックは存在します。
短期間で合格するためには、試験本番でも使える回答テクニックを説明しているテキストのほうが優れているといえるでしょう。
テキスト選びのポイント④ 本試験レベルの問題に対応していること
受験の目的は簿記の基礎を固めることではなく、3級試験に合格することです。
本試験で合格するためには基礎固めが最重要ですが、当然それだけではダメ。本試験レベルの問題に対応できる応用力がなければいけません。
単に基礎をわかりやすく書いているテキストではなく、本試験レベルの応用問題の解き方にも触れているテキストがおすすめです。
2.問題集と動画は「必須ではないがあったほうがよい」
問題集と一体型のテキストや、YouTubeなどを通じて動画を視聴できるテキストも増えてきました。
これらのオマケがあるテキストとないテキストなら、あるテキストのほうがいいでしょう。ただし、上記4つのポイントに比べると、それほど重要な要素ではありません。
問題集や動画が重要ではない理由
問題集や動画はしっかりとこなせば有効ですが、問題集を解いたり動画を視聴したりするのに時間が掛かります。
スキマ時間を活用しながら短期間で合格するためには、まずテキストをざっくり読み終え、全体をスピーディーに理解してから、簡単な基礎問題を繰り返し解いて知識を定着させていくことが大切です。そのための問題は当サイトで無料公開しています。そして次にトライするのは問題集よりも過去問のほうがいいでしょう。
テキストを読みながら問題を解いたり動画を見ていると、全体像の把握に時間が掛かりすぎて、途中で嫌になることが目に見えています。自分の意欲とも付き合いながらうまく継続していく必要があるのです。
この辺の時間の使い方、効率的な勉強法については、「2つの戦略で合格する独学初心者のための簿記3級勉強法」で詳しく説明しています。ぜひご一読ください。
ないよりはあったほうがよい
とはいえ、必要なければ飛ばせばいいだけですし、ないよりはあったほうがいいです。
テキストを読みながら「ん?ここは理解できないぞ?」とか、「ここが弱いから集中的に問題を解きたい!」と思ったときには使えます。
3.ズバリおすすめする簿記3級テキストと比較
では、簿記初心者が短時間でらくらく合格するためには、実際にどのようなテキストが最適なのか、当サイトのおすすめテキストをご紹介します。
良い点と悪い点を比較していますので、自分の好みに応じて最良の一冊を選びましょう。
書名 | 著者 | 税別額 | 短評 |
---|---|---|---|
みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 |
滝沢ななみ | 950円 | 多色カラーと充実した解説。 総じて完成度の高い。 |
スッキリわかる 日商簿記3級テキスト&問題集 |
滝沢ななみ | 950円 | 可愛いキャラクターでとっつきやすい。 読んでいて飽きない工夫がされている。 |
パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級テキスト&問題集 |
よせだあつこ | 1,300円 | 味のある絵の4コマが特徴。 試験に則した解法が示されている。 |
合格テキスト 日商簿記3級 |
TAC簿記検定講座 | 2,000円 | ハイレベル問題への対応が充実。 サブテキストとしては非常に優秀。 |
おすすめ① みんなが欲しかった簿記の教科書 日商3級
著:滝澤ななみ TAC出版 950円+税
総じて完成度の高い良書です。
実務的な事業活動が非常にカラフルな絵を用いて示されており、とてもわかりやすいです。ところどころに挿入された補足説明も的確で、基礎的な理解を助けてくれます。
画像で立ち読み
評点
イラストの充実 | 5.0 |
イメージしやすさ | 4.0 |
本番向きの解法 | 3.0 |
本試験レベル対応 | 4.0 |
総合 | 4.5 |
ここが良い
カラフルで充実したイラスト。イメージしやすい説明。全体的な完成度の高さ。
ここがイマイチ
問題集は別売り。
おすすめ② スッキリわかる日商簿記3級
著:滝澤ななみ TAC出版 950円+税
ドラえもんみたいなキャラクターがかわいい、初心者にとってはとっつきやすさ抜群のテキストです。
色は二色刷りで落ち着いた印象です。簿記のアイコンをふんだんに用いているので、読んでいて楽しいという強みがあります。
画像で立ち読み
評点
イラストの充実 | 4.5 |
イメージしやすさ | 4.0 |
本番向きの解法 | 3.5 |
本試験レベル対応 | 3.0 |
総合 | 4.5 |
ここが良い
とっつきやすいイラスト。イメージしやすい説明。読んでいて楽しくなる。初心者にぴったり。一部動画も公開。
ここがイマイチ
他のおすすめ本に比べて色遣いが暗め。
おすすめ③ パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級テキスト&問題集
著:よせだあつこ 翔泳社 1,300円+税
四コマ漫画で取引を解説しているのが特徴のテキストです。
(ただし、四コマ自体が面白いわけではない)
一番の利点は仕訳問題の解法が詳しく記載されていること。
かなり実践的なテクニックが身につくテキストです。
画像で立ち読み
評点
イラストの充実 | 4.0 |
イメージしやすさ | 3.5 |
本番向きの解法 | 4.5 |
本試験レベル対応 | 3.5 |
総合 | 4.0 |
ここが良い
仕訳問題の解法が実践的。漫画と解説の連動。問題集・動画付き。
ここがイマイチ
漫画自体は特に面白いわけではない。好みがわかれる絵柄。
おすすめ④ 合格テキスト 日商簿記3級
著:TAC簿記検定講座 TAC出版 2,000円+税
資格学校の教科書感の強い市販テキスト。内容は簡潔かつ詳しくまとまっています。
また、そのまま試験時の下書きにしてもいいほど解法がしっかり解説されています。
ただし、その分他の3冊に比べて遊び要素が少なく、途中で飽きる可能性あり。
値段も高くて判もB5と大型。絵がダサいのもマイナス点。
初心者の最初のテキストとしては選外なのですが、本試験レベルへの対応に優れており、サブテキスト・参考書としては非常に優れています。
画像で立ち読み
評点
イラストの充実 | 2.0 |
イメージしやすさ | 3.0 |
本番向きの解法 | 4.5 |
本試験レベル対応 | 5.0 |
総合 | 3.5 |
ここが良い
本試験にばっちり対応できる応用力が身につく。サブテキストとしては非常に優秀。
ここがイマイチ
他の3冊に比べて初心者にはとっつきづらい。絵柄の悪さ。高い。
おわりに
上記でご紹介した書籍は一長一短ありますが、いずれも初心者が合格するまでに必要な知識を身に着けるには十分な内容になっています。
ぜひご自分の好みに合わせて、お好きな本を購入してみてください。