
今回はキャッシュフロー精算表で使用できる未払金のキャッシュフロー振替シートを公開します。
シート自体は至ってシンプルなので、未払金のキャッシュフロー調整がどのようなものなのかについても解説していきましょう。考え方をマスターすると、未収入金や未払費用のキャッシュフロー振替シートも簡単に作ることができます。
未払金のキャッシュフロー振替を効率的に行うコツは、キャッシュフロー精算表上で未払金の調整列を独立させることです。
つまり、たとえば有形固定資産の調整列で未払金の増減を考慮したキャッシュフローを入力するのではなく、未払金は専用の振替列を作って調整しましょう。そうしたほうが圧倒的に作業が簡単になります。
未払金のキャッシュフロー振替シートは以下のアイコンをクリックするとダウンロードできます。
Y420 未払金のキャッシュフロー振替シート ver.1.1.1(Excelファイル)
※マクロは一切使用しておりません
以下ではこのシートの使い方と、未払金の増減差額のキャッシュフロー上の考え方について解説します。
1.未払金のキャッシュフロー振替の考え方
言うまでもなく未払金は負債ですので、増加するとプラスのキャッシュフロー、減少するとマイナスのキャッシュフローとして扱われます。
B/S科目の増減とキャッシュフローの関係については「初めてキャッシュフロー計算書の作り方を学ぶ前に読む話」で詳しく解説しています。
買掛金であれば「仕入債務の増減」という営業キャッシュフロー項目に、短期借入金であれば「短期借入金の純増減額」という財務キャッシュフロー項目に振り替えるだけで済むのですが、未払金の厄介なところは、様々な用途に使われていることです。
たとえば、販管費など営業費用の支払いに関連して生じた未払金であれば、営業キャッシュフロー(小計より上)の「未払金の増減」に振り替えますし、有形固定資産の取得によって生じた未払金であれば投資キャッシュフローの「有形固定資産の取得支出」の調整項目として振り替える必要があります。
このように、未払金は様々な用途で発生するものですので、その増減額を「分解」する必要があります。
この「分解」の作業を誰でも簡単にできるようにしたの未払金のキャッシュフロー振替シートです。
2.未払金のキャッシュフロー振替シートの使い方
未払金のキャッシュフロー振替シートは、単純に未払金の増減を各発生要因別に分解するシートです。入力欄は以下の通りとなります。
なお、雑多になりがちな営業費用(販管費など)の内訳は、科目残高からそれ以外の合計値を差引く形で計算するようになっています。
当ブログの読者の方にはすっかりお馴染みですが、緑セルと薄黄色セルが数値入力セルです。Excel計算シートにおけるセルのルールについては「簡単!経理が加速するExcelシート作りの8つの鉄則」をご覧ください。
前期末と当期末の発生要因別残高を入力すると、シート下部にキャッシュフロー精算表の入力方法が表示されます。
参考として表示されるキャッシュフロー仕訳は、借方数値はプラス、貸方数値はマイナスで表示されます。キャッシュフロー仕訳については「借方?貸方?キャッシュフロー仕訳を理解しよう」で、貸借をプラスマイナスで表現する方法については「貸借をプラスマイナスで表現すると決算作業がサクサク進む」でそれぞれ詳しく解説しています。
3.未払金のキャッシュフロー振替シートについて
3-1.カスタマイズについて
未払金のキャッシュフロー振替シートには空欄が設けられていますが、これは会社の取引の特殊性や期ごとにイレギュラーな調整が必要な場合に使用します。非常に単純なシートですので、使いやすいようにどんどんカスタマイズしてみましょう。
なお、弊社では業務フローや記帳ルールの改善も含めた経理高速化・効率化コンサルティングを実施しております。より効率的に業務改善を図りたい場合はぜひご連絡ください。
3-2.正確性について
実在する企業数社の実数値を用いて計算チェックを行っておりますが、あらゆる状況に対応していることを確認しているものではありません。必ず決算前に過年度数値を用いて、計算の正確性を確認してください。当計算シートを用いたことにより発生した一切の損害について、弊社では責任を負いかねます。
なお、計算式の不備やバグを発見された場合は、弊社までご連絡をいただけますと幸いです。
3-3.二次利用について
著作権は放棄しませんが、利用者様の責任において無申告で修正・改変することができます。
ただし、著作物への添付、セミナーでの配布、インターネットでの配布等につきましては、必ず弊社までご一報をお願いいたします。
3-4.質問対応について
本記事のコメント欄より質問を受け付けております。
決算大詰めでお急ぎの場合はお電話ください。
コメント