
キャッシュフロー計算書は、それがどのようなものであるかはご存知の経理パーソンも多いのですが、作り方となると雲を掴むような話でよく分からない!という方も多いのではないでしょうか。
キャッシュフロー計算書は簿記1級の試験範囲ですが、座学で試験を受けたとしても作れるようになるものではありません。また、どんなに高度な会計システムを導入していても、クリック1つで自動作成できる代物でもありません。
一定水準のキャッシュフロー計算書を作るためには、その内容や計算原理をしっかり理解して、システマティックに組み上げていく必要があります。その本質さえ理解できれば、Excelであってもしっかりした計算をスピーディーに行うことも難しくはありません。
当サイトでは、キャッシュフロー計算書作成に必要な知識と計算ノウハウのすべてをまとめました。これからキャッシュフロー計算書を勉強する人にも、実務として取り組んでいく必要がある人にも、必ずお役に立つコンテンツとなっております。
1.キャッシュフロー計算書作成の基礎を築こう
キャッシュフロー会計=キャッシュの収支集計ではない
キャッシュフロー計算書の作り方については、大きな誤解を抱いている方が非常に多いように思います。
キャッシュフロー計算書は、現金預金の収支を集計して作るのではなく、B/S科目の変動を分析して作ります。ここを勘違いしているうちは、キャッシュフロー計算書作成をマスターすることはできません。
キャッシュフロー計算書作成の基礎理論は以下にまとめておりますので、まずはじっくり読んで確固たる基礎を築き上げましょう。
初めてキャッシュフロー計算書の作り方を学ぶ前に読む話
当社のキャッシュフロー計算書関連記事の中で最重要となるコンテンツです。キャッシュフロー計算書作成の基本原理をじっくり解説していますので、必ず目を通してください。また、わからなくなったときはここに立ち戻ってください。[記事を読む]
実践!簡単なキャッシュフロー計算書の作り方
キャッシュフロー計算書作成の基本原理を、簡単な例を用いて解説しています。「簡単な」といっても非上場会社であればそのまま使っても問題ないレベルであり、これをマスターできればキャッシュフロー計算書作成の本質はほとんど掴んだようなものでしょう。[記事を読む]
2.キャッシュフローの各区分を理解しよう
キャッシュフローの理解のためには区分を知ろう
キャッシュフロー計算書は、キャッシュフローを「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つの区分に分け、それぞれの合計を取りながらまとめたものです。したがって、各キャッシュフローが3つのキャッシュフロー区分のどれに該当し、どのような科目として表示されるのかをしっかりと理解しておかなければなりません。
以下では各キャッシュフロー区分の意味と内容をじっくり解説しています。しっかり読んで、どのキャッシュフロー区分に分類されるかパッと考えられるようにしておきましょう。
経理が知るべき営業キャッシュフローの全知識
営業キャッシュフローは事業活動の損益として発生したキャッシュフローであり、会社の活動の根本的な成果と言えます。
営業キャッシュフローの表示方法としては「間接法」が一般的ですが、この方法は「利益」や「減価償却費」をそれぞれキャッシュフローとして捉えるという特徴があります。[記事を読む]
経理のための投資キャッシュフローの大解説
投資キャッシュフローは、主に会社が将来の営業キャッシュフローを得るために先行投資として支出したキャッシュであり、会社の将来を占うものです。
代表的な科目をまとめていますので、しっかりと覚えておきましょう。[記事を読む]
経理が学ぶ財務キャッシュフローのすべて
財務キャッシュフローは、会社にとって資金の「入口」と「出口」であり、資金管理の調整弁としての役割を持っています。
トータルの金額以上に各科目の内容が重要なキャッシュフロー区分であり、どのような科目があるのか学んでいきましょう。[記事を読む]
3.キャッシュフロー精算表を理解しよう
キャッシュフロー精算表を知らなければキャッシュフロー計算書は作れない
キャッシュフロー計算書の作成実務において、絶対に避けて通れないのがキャッシュフロー精算表です。
簿記1級や公認会計士試験ではほとんど出題されない「経理テクニック」ですが、これを理解せずにキャッシュフロー計算を理解することはできません。まさにキャッシュフロー実務の象徴的なワークシートなのです。
若干クセはあるものの、そう難しいものではありません。わからなくなったらいつでも基礎に立ち戻って、しっかりと理解するようにしてください。
キャッシュフロー精算表の計算構造がスッキリわかる話
キャッシュフロー精算表は膨大なサイズになりやすく、予備知識なく前任担当者の作ったものを眺めていても混乱するだけです。まずはこのワークシートがどのような計算構造で成り立っているかをしっかり理解しましょう。[記事を読む]
借方?貸方?キャッシュフロー仕訳を理解しよう
もしもあなたの会社がExcel以外のシステムによってキャッシュフロー計算を行っているのであれば、キャッシュフロー精算表とともにキャッシュフロー仕訳についても理解しなければいけません。
一見難解なキャッシュフロー仕訳も、慣れてしまえばそう難しいものではありませんので、この記事で基本をしっかりと覚えておきましょう。[記事を読む]
4.キャッシュフロー精算表のサンプルを入手しよう
キャッシュフロー精算表に触れてみよう
キャッシュフロー精算表の基本構造を理解したら、実際のキャッシュフロー精算表のサンプルを見てみましょう。
当社が公開しているのはあくまでサンプルであり、貴社の取引や業務フローに応じてカスタマイズしていく必要があるのですが、まずは1つのプラクティスとしてご紹介します。
キャッシュフロー精算表のサンプルシートと効率化ポイント
当社がオススメしているキャッシュフロー精算表の「形」はこのようなものです。
作業効率化のテクニックも併せてご紹介していますので、自社で既に作っているという方も一度目を通してみてください。[記事を読む]
5.科目別のキャッシュフロー振替シートを作っていこう
キャッシュフロー精算表の入力数値を計算する
キャッシュフロー精算表を手に入れても、その入力数値をしっかり計算できなければ意味がありません。入力数値は勘定科目の増減分析によって計算していきますので、毎年迷わず同様の計算ができるよう、キャッシュフロー振替シートを作っていきましょう。
当サイトでは、特徴的・典型的な勘定科目をピックアップして、キャッシュフロー振替シートの例をご提示しています。以下の科目の振替方法を理解することができれば、応用によってどんな科目も振り替えていくことができるでしょう。
▶利益剰余金のキャッシュフロー振替シート&考え方(単体決算用)※税効果会計含む
▶非支配持分と利益剰余金のキャッシュフロー振替シート&考え方(連結決算用)※税効果会計含む
おわりに
今回ご紹介したキャッシュフロー計算書作成は、あくまでその「本質」をまとめているものであり、本質を理解したら次にそれを会社の個別性に合わせて適用させていくことが必要です。
残念ながら、これは個々の会社の業種、取引形態、業務フローや記帳方法といった要素によって大きく変わるため、一律的な処理方法をご提示することはできません。
本サイトをじっくり読んでいただき、試行錯誤を繰り返せば、誰でもコンサルタント顔負けの効率的な計算スキームを構築することができます。やや時間が掛かってしまうかもしれませんので、お急ぎの場合は、弊社コンサルタントが貴社にお邪魔し、業務フローや記帳方法のアドバイスも含めた効率的なキャッシュフロー計算スキーム構築をプロデュースさせていただきます。お問い合わせフォームからご連絡ください。
キャッシュフロー計算は、どんなに優秀な会計システムを導入しても、それを扱う人が理解していなければきちんとしたものは絶対に作れません。逆に、しっかりした知識と経験があれば、中規模上場会社程度であればExcelでスピーディーに作ることも可能です。いずれの場合も、大切なのは本質をしっかり理解すること。それをマスターできれば、経理パーソンとしてのスキルは格段に上がります。
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